株式会社ビデオソニック:Looks 使用例

ブライダル映像をひとつひとつ丁寧に制作をしている株式会社ビデオソニックは、日本全国に拠点を構えている。 撮影された映像のクオリティをコントロールするツールのひとつに Red Giant社の Color Suite(Magic Bullet Looks を収録したカラーコレクションツール群)を導入している。今回、株式会社ビデオソニック チーフエディター 伊藤 賢氏、SE課 米澤 真宏氏に、ブライダル映像制作現場でのカラーコレクションツール活用についてお話を伺った。

映像クオリティを維持するのに Color Suite はどのように活用していますか?

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弊社は仙台から鹿児島まで支店があります。最初は埼玉から事業を始め、そこを拠点にして広がっていきました。ブライダルがメインなので、観た人たちが笑顔になるよう、パーティを心から楽しめるような映像を制作するようにしています。撮影で使用しているカメラは主に7D、6D、AF105、VG-20など。これらのカメラは今まで主力だったものよりも良い画質で撮れるけれども、カラーコレクションに気を遣わなくていいと言う訳ではありません。機材が変化したからこそ、カラコレやグレーディングで映像の良さを引き出す作業はより重要になったと感じています。

今までカラーコレクションは、FCPやAEでできる範囲でやっていました。標準の色補正でも努力次第である程度はできていましたので。でも、ちょっと周りをぼかしたい、黒っぽい縁がほしい、という時にはPSやAEで素材を作って調整をしていました。そこで、FCP、Premiere、After Effects で共通で利用できる Magic Bullet Looks を試験的に導入しました。 Magic Bullet Looks の良さは今までと変わらない感覚で色を調整できるのは勿論ですが、すでにプリセットが入っている。いちいち別アプリで素材作成しなくても良いうことです。プレビューが速いのでトライ&エラーがしすいのも嬉しいですね。

Magic Bullet Looks 操作画

また、カメラの種類によって撮影された映像の色が違うのは当たり前。もちろんロケーションやホワイトが違うと変わってくるのはありますが、同じカメラでも複数台になるとそれぞれ微妙に違ってきます。この場合は Colorista II で調整し、その後に Magic Bullet Looks で雰囲気や色味を加えて映像の流れに統一感を出します。

それぞれのアプリでも色の補正には癖があります。EDIUS、FCP、AEで色補正の考え方や特徴はもちろん使い方もまったく違う。上記の事を鑑みると、今後は Magic Bullet Looks を基準にワークフローを組み立てる可能性があるかもしれません。弊社は全国にスタッフがいるので、ハードウェアでシステム化するより Magic Bullet Looks を使って統一したほうが手軽かもと感じています。

Color Suite の導入で時間短縮にもなりましたか?

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レンダリング時間の短縮というより、「最終的にどう見えるか」という部分が Color Suite を使うことで、ディレクターとのやり取りがスムーズになりました。従来は同じようなエフェクトでもアプリをまたがると微妙に違うため、イメージの統一は手間がかかりました。しかしこのプラグインは独立したエディット画面であるため細かいことが伝えやすいのがメリットでした。

また普段は、AEとFCP、Premiere、Edius といったノンリニアを組み合わせて使う作業が多いのですが、Magic Bullet Looks を使うと作業で別のアプリをまたがなくてもよくなる場合も出てきた。AEならAEの作業に集中できて効率アップし、結果編集作業の時間を短縮できるようになりました。

Magic Bullet Looks 操作画面

他には、Color Suite の中にある Cosmo はとても助かりました。動画でスキンレタッチしたい時、アプリのデフォルト機能でやろうとすると処理が重い&手間がかかる。 このプラグインはスキンレタッチを手軽にできて、現場ではとても重宝しています。今や欠かせません。

Color Suite は、使い慣れたアプリの延長で操作できるのに、デフォルトの機能で難しいことも出来る。まさに「かゆいところに手が届く」感じ。 Color Suite でできることが分かると撮影の段階でイメージしやすいので映像の質が格段にあがります。 実際にカラーグレーディングの距離が近づいたことで、カメラマンを含めた現場での新たなチャレンジが生まれることもありました。

他に使用しているプラグインは?

演出として Trapcode Particular を使うことが多いです。写真や撮影した映像に Trapcode Particular を単純にのせただけではエフェクトが浮いてしまう。そこで Magic Bullet Looks で色のトーンを合わせ、エフェクトと素材の距離感を縮めることはよくしています。

カラーグレーディングのハードウェアシステムを導入する予定は?

株式会社ビデオソニック チーフエディター 伊藤 賢 氏

そうですね、いつかは必要だと思うし実績のあるシステムは導入したいとは思います。 作品全体の色やトーンを調整することで映像のクオリティは確実にアップしますから。 ですが、例えば DaVinci などは、マシンスペックやグラフィックボードの必要スペックがそれなりに必要で、さらに使いこなすためには時間がかかる。いきなり必要な台数分を現場に導入して「さあやってみよう」ということがなかなかできない。しかし Magic Bullet Looks のようなソフトウェアだと時間がない場合でも「インストールしてやってみよう」となる。我々のように全国に拠点のある企業には、手の届きやすいちょうどよいポジションにあります。

ブライダルは映っている方々が主役です。全ての人にそれぞれの物語やシチュエーションがあります。撮影現場では、緑、水や海といった自然の色、ゴシック調のチャペルだと重厚な黒、茶、金色など。そしてドレスの白。いろんな色をうまく引き出して、いつまでも残しておきたいと思う作品にするのが最終目的です。

あると嬉しいプラグインはありますか?

株式会社ビデオソニック SE課 米澤 真宏 氏

強力なノイズ除去があると嬉しいですね。常に照明が焚けるわけでは無いので、ノイズを美しく和らげられれば。あとは室内で発生してしまうフリッカーをキレイに削除できるプラグインがあると最高ですね。手作業でも限界があるものなので。

今後の展望は?

Video Copilot社の製品はどれも使いやすくて気に入っています。Element 3D などのようにCGが手軽にできるようになった今、作品性を強調するためのカラーグレーディングの大切さを意識していきたい。今や解像度だけで言えばスマホのカメラでも充分のレベルを撮影できてしまうので、プロとしての「違い」どう出すのかを考えていく必要があります。

また、今後は色々なサービスを展開していく予定です。クリエイターさんは映像アプリのプリセットやエフェクトのパラメータをカスタマイズするのは当たり前です。それを見越してイーズモーション(izmotion.co.jp)という事業を展開し始めました。 是非、サイトにアクセスしてみてください。


株式会社ビデオソニック
1972年設立。「あなたの身近にいるプロフェッショナル」として、企業PVや講演会、吹奏楽・ダンス・演劇などの舞台公演、ブライダル・結婚式の撮影・編集・上映から教育機関や学校・幼稚園の記録撮影に至るまであらゆる映像制作を行っております。 また、Webデザイン・制作や、 新規事業である「izmaker」サービスを開始致しました。
Webサイト:videosonic.co.jp/

izmaker(イーズメーカー)
2013年4月映像制作に特化したwebサービスの第一弾として、映像、音声素材の販売・購入ができる会員制(会員登録無料)のストックサービスを開始。私たちはizmakerを、必要な時に必要な素材が入手できる場所、仕事と出会える場所にすることを目標に活動を続けています。
Webサイト:izmaker.com

伊藤賢
2007年入社。主な使用ツールは Final Cut Pro、Premiere、After Effects。最近では大切な人へ想いを映像で届ける、DEAR LIFE/ディア・ライフの制作を担当。

米澤真宏
2011年入社。システムエンジニアとして、Final Cut Pro・After Effects などの映像制作サポートを担当。