映像クリエイターの制作事例をご紹介

【After Effects と CINEMA 4D で広がる 映像表現】
セミナーレポート

去る2012年10月、 弊社及び、MAXON Japan & TMS さまと共催で、【After Effects と CINEMA 4Dで広がる映像表現】と題したセミナーを開催致しました。当日はお忙しいなかご来場頂いた沢山のみなさま、誠にありがとうございます。本レポートでは、来場頂けなかった映像クリエイターのみなさまに、セミナーの内容をざっくりと紹介させて頂きます。


今回のセミナーでは、 コンポジターに最もオススメな3DCG作成ツール CINEMA 4D と、After Effects、更に After Effects プラグイン を活用して映像制作を行っているアーティストのネイキッドさん、@まさたかPさんにご登壇頂き、実際の作品の制作過程をご紹介頂きましたー!

1)株式会社ネイキッド様の制作事例

手前から:株式会社ネイキッド 渡辺氏、中村氏、森田氏

株式会社ネイキッド様からは、After Effects プラグインを使った空間演出の事例と、After Effects と CINEMA 4Dを活用したプロジェクションマッピングの制作事例の、2つの事例をご紹介頂きました。今回はビデオでのご紹介ができませんが、レポートにてお届け致します〜。

其の一/森田 雄 氏によるAfter Effects プラグインを使った空間演出の制作事例

森田氏からは、After Effects プラグインの Trapcode Particular、Optical Flares Plug-in、Magic Bullet Looks を活用したミュージックビデオの制作過程をご紹介頂きました。

本作品のコンセプトは「ディスコ的仮想空間」。スタジオで撮影したグリーン&黒バックで撮影されたシンプルな素材に、After Effects プラグインを使って映像空間を演出します。解決したかった課題は、人物を切り抜けず、背後にエフェクトを回すことができない素材に立体感を作ること。またアーティストの周囲の真っ暗な背景にリッチな「空感」を作ることです。

まず、空間を演出するツールとして使用したのが、 Trapcode Particular です。Particular はキラキラというパーティクル効果に留まらず、ごく自然に空間を浮遊する塵の効果としても重宝されるツールです。この Particular で、サイズの異なる光の粒子を空間に漂わせることで、アーティストの周囲にリッチな空間を作成していきます。

アーティストの手前には派手な粒子を、画面全体を小さな粒子で充填させることでより立体的な空間に仕上げることができます。さらに Particular の After Effects カメラに連動する特性を活かし、アーティストに合わせた動きを付けます。粒子にカメラの動きを付けることでさらに立体感を増幅させていきます。

続いて、VideoCopilot社の レンズフレアプラグイン Optical Flares を使って、カメラと対象物の間に光を差し込み、空間の奥行きを演出します。画面外に光源を配置し、ハレーションを感じさせるような演出を加え、光源も複数配置することで光の層を作り、空間の立体感を更に際立たせます。

最後に仕上げとして、カラーグレーディングプラグイン の Magic Bullet Looks を使います。カラコレで合成した要素を馴染ませ、色彩を統一し、伝えたい演出に沿ってカラーグレーディング効果を加えます。また、あらかじめ、この最終的なカラーグレーディングでの仕上げを念頭にワークフローを組むと、より効果的かつ効率的な制作を進められるのではとアドバイスを頂きました。

其の二/渡辺雅也 氏、中村大輔 氏よるプロジェクションマッピングにおける After Effects とCINEMA 4D の活用方法

CINEMA 4D と After Effects を使ったプロジェクションマッピング事例

プロジェクションマッピングは、映像コンテンツをスクリーンのような平面に単純投影するのではなく、あらゆる立体物、凹凸のある面にプロジェクターで投影する、近年特に注目される映像表現の技法です。

プロジェクションマッピングされた立体物は、映像の動きや変化で立体物そのものが動いたり、輝いたり、変形させることが可能です。また、全く別の物体に変化させることもできます。

ネイキッドさんでは、このプロジェクションマッピングを After Effects と CINEMA 4Dを多様して制作されているとのことです。セミナーでは、ミュージッククリップのスタジオ収録にこのプロジェクションマッピングを活用した制作フローをご紹介頂きました。

更に、After Effects とCINEMA 4Dの連携、AE Script 社のプラグイン Plexus や、Maxon 社の MoGraph の活用もされています。

ネイキッドさんのプロジェクションマッピング作品として、2012年12月に開催された【東京ミチテラス2012「TOKYO HIKARI VISION」】をビデオで見ることができます。ぜひ合わせてご覧ください!

2)@まさたかP氏による、MMD、CINEMA 4D、After Effectsで行うPV制作事例

@まさたかP氏は、ボーカロイド曲のPVを中心に活躍されるアーティストです。今回は、@まさたかP氏が日頃活用されるツール、MikuMikuDance(MMD)を中心に、CINEMA 4D、After Effects、そして After Effects で 3DCGを作成できるプラグイン Element 3D を連携させたPV制作事例を紹介頂きました。

さて、MMDとは、初音ミクなどでおなじみ、ボーカロイドキャラクターの3Dモデルでアニメーション制作のできるフリーの3DCGソフトウェアです。MMDって、フリーソフトだし、どんだけプロの現場で使えるの〜!?そんなお声を上げられる方は、ぜひこのビデオを見て驚いてください!

(0.30〜) MMDの操作解説と利用することの利点とは? リアルタイムレンダリングができるMMDの特性と、簡単に操作できるインターフェイスを紹介します。

(2.56〜) MMD、C4D、AEに加え、After Effects プラグインの Element 3D を使うことでPV制作の作業効率が格段とアップします。 背景制作、キャラクターアニメーション、合成とワークフロー、 Element 3D を活用することで広がる表現方法を解説します。

(25.20〜) MMDを最大限活かすためC4Dと連携、利点と連携方法など。MMDキャラクターのモーションデータをエクスポートし、C4Dで読み込む方法をご紹介。必見です。

(34.10〜) 発展するMMDコミュニティーとMMDを利用した制作の可能性から、制作事例プレビューまで。

MMDって、所詮フリーソフトでしょ?そんな認識をお持ちの方は、将に必見のビデオ解説。MMDを使った@まさたかP氏のダンスの振り付けは、手付けです。。。おーゴッドハンド!ズバリ神業!MMDを未見の方、あなたの目がうろこごとはがれること請け合いです。

3)MAXON Japan による CINEMA 4D とAfter Effects の連携の紹介

After Effects との連携が抜群で、コンポジターにオススメの3DCGソフトウェアといえば、CINEMA 4D!今回は、CINEMA 4D の販売元、MAXON Japan の宮田氏から、CINEMA 4Dと連携したAfter Effects の使用方法について解説して頂きました。

実写合成用データ作成方法から、After Effects プラグイン Element 3D 連携用データ作成時の注意点まで、3DCGをはじめてみたい方に参考になる情報が盛りだくさんです。

(3.45〜) CINEMA 4Dで制作したアニメーションの3D平面、ライト、カメラ情報をAfter Effects へ移行する方法とは。

(11.10〜) After Effects CS6 のカメラトラッカーをエクスポートし、CINEMA 4D上で実写合成する方法について。After Effects で制作した3Dカメラとトラッキングデータのエクスポート設定。

(22.43〜) CINEMA 4D のレンダリング結果をAEのプロジェクトとしての書き出す方法について。CINEMA 4D でレンダリングした影やスペキュラーを別レイヤーで出すことで、AE側ではめ込み合成を行う際の補正が簡単になります。

(29.30〜) CINEMA 4D R14の新しいカメラ機能のモーションカメラとカメラモーフの利用方法。モーションカメラ:カメラの動きをシミュレートし、自然なカメラの動きを再現。カメラモーフ:複数のカメラの切替え 等。

(32.05〜) Element 3D と CINEMA 4Dの連携時の注意点として、Element 3DはC4Dのデータを直接読み込めますが、シェーダには対応していないためシェーダを使用しているオブジェクトを渡す際はテクスチャの焼成が必要になることです。

講演者プロフィール
@まさたかP(Art Director)映像クリエーター
ボーカロイド曲のPVを主に手掛け、第4回MMD杯に出品した『Chaining Intention【PV】』では総合優勝。90万再生を数える。
現在はプロの映像作家として活躍しており、代表作に、柴咲コウ「galaxias!」、シナモンロール10周年を記念した『シナモンのパレード』(サンリオ)、Microsoftオープニング映像等。Cinema4DとAE、MMDを使用して映像を制作している。

渡辺 雅也(株式会社ネイキッド)
1999年ネイキッド入社。広告案件を中心にデザイナー、ディレクターを経てプロデューサーとして活動する。 特に展示会系の経験は豊富で、特殊映像装置のコンテンツ制作もそつなくこなす。 近年は、豊富な経験と知識を活かし、映像/WEB/平面を連動させたプロジェクトをプロデュースする傍ら、クリエイティブディレクターやWEBディレクターとしても活動中。 また、 ビデオマッピング (3Dプロジェクションマッピング)のプロジェクトではスーパーバイザーとして活動している。

中村 大輔(株式会社ネイキッド)
大学卒業後、独学の3DCGを職にしたいと考え、1999年末ネイキッドに参加。 3DCGをベースに映画での実写+CGのコンポジットからテレビのバラエティ番組まで幅広いCGを手がける。 手掛けた作品としては、『バーチャルガール』(劇中CG合成)、『金田一少年の事件簿』(劇中CG合成)、『女王の教室』(劇中CG合成)、『富豪刑事デラックス』(劇中CG合成)、『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』(劇中CG合成)、『ハケンの品格』(劇中CG合成)、『ホタルノヒカリ』(劇中CG合成)、六本木ヒルズオープニングイベント映像CG、『最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学』(タイトルバック、番組内CG)、J-PHONEイベント用映像(CG)、レクサス海外モーターショウ用映像(CG)など。

森田 雄(株式会社ネイキッド)
活動の主軸である映画製作にチーフ助監督/脚本/編集/タイトルバックデザインなど、総合的に参加する傍ら、TVドラマタイトルバック『家族のうた』『HUNTER〜その女たち、賞金稼ぎ〜』やMusic Videoをメインにディレクションを手がける。 また、PUMA、Panassonic、グラクソ・スミスクラインなど数多くのナショナルブランドの映像を演出。 特にPUMAキャンペーン映像では、AD FEST/カンヌ広告祭に出品されるなど、高い評価を得た。 ドラマ演出だけでなく、直感的なモーショングラフィックも得意としている。 また、ディレクション業務と平行して、複数の長編映画企画に参加している。 2012年よりNAKED INC.のロサンゼルス支局に所属。 初の海外アーティストのMusic VideoとなるAndrew Bird「Eyeoneye」を手がける。 国を問わず活動の場を広げている。

株式会社ネイキッドWebサイト http://www.naked.co.jp/