キヤノンEOS 5Dで撮影したグリーンバック素材を、
After Effects プラグイン "Primatte Keyer" を使ってクロマキー合成する

After Effectsで美しいクロマキー合成を実現するキーイングソフト
【 Primatte Keyer 】
株式会社マリモレコーズ 
江夏 由洋(FILTER KYODAI)
キーイングの "抜け" の追い込みに、余計な手間を掛けていませんか? 僅か数度のサンプリングでクロマキー合成を行い、 且つ美しく綺麗に仕上げるプロのキーイングソフトウェア【Primatte Keyer】をマリモレコーズの江夏さんに使って頂きました。
Primatte Keyer で誰でも「簡単」「綺麗」にできるグリーンバック合成
 最近グリーンバックの撮影の現場を多く見かけるようになりました。一昔前までは結構大変な作業だった合成のワークフローですが、今では「簡単」「綺麗」にできる環境が整っています。

 やはりカメラスペックが向上したことに合わせて、After Effects の機能向上やファイルベースにおける作業効率が一気に良くなったことが合成作業の敷居を下げているのだと思います。現行の After Effects には最初から合成エフェクトが入っていますし、青や緑の布さえあれば、その方法はいたって簡単です。

 しかし視聴者が「分からない」ような高度な合成を行うには、撮影時のテクニックだけでなく、相応のソフトウエアが必要になってきます。
グリーンバック合成の様子。誰でも簡単に合成作業をする環境を作ることができるようになった。
Primatte Keyerの編集画面。パラメータの数字をいじるのではなく、画像からサンプルを抽出してエフェクトをかけていく手法。とても直感的でわかりやすい。
 今回私が紹介するのは、Red Giant の「Primatte Keyer4.1」です。

 このキーイングプラグインはかなりの優れもので、After Effects CS5 対応となり、さらに使いやすく、そして力強くなりました。CS5の64bit環境でガンガン動かせます。こういっやサードパーティの素早い対応はユーザーにとって嬉しい限りです。
撮影はキヤノン EOS 5D MarkUで
 まず撮影するカメラですが、やはりEOS 5D MarkUが効率的でしょう。EOSムービーを合成素材収録で使う理由は3つあります。

 まずは高感度であることです。従来のムービーカメラですと合成をするためにはかなりの明るさの照明を必要としますが、EOSムービーですと ISO をあげたりシャッタースピードや絞りを調整することで、少ない光で合成用の素材を記録できます。

 そして二つ目の理由は収録ビットレートが高いことです。合成を行うときに、映像の持つ情報量は多ければ多いほど綺麗に背景を抜くことができます。EOSムービーのビットレートは最大でなんと40Mbs。AVCHD の約1.5倍もの量なので、抜けの違いを実感していただけるでしょう。

 そしてやはりファイルベースなので収録してすぐに合成作業に取り掛かれるのも大きいです。CS5 ではもちろんネイティブで EOSムービーを編集できるので、驚くほどその作業は効率的です。
Canon EOS 5D Mark Uによる撮影は合成素材収録に向いている。高感度・高ビットレートで抜けがいい。
簡単操作の Primatte Keyer
通常のエフェクト同様に素材にかける。Primatte Keyer は「簡単」「綺麗」な合成を実現してくれる。
 EOS 5D MarkUで撮影した後は、すぐにファイルを After Effects CS5 に載せます。そして Primatte Keyer4.1 を使って一気に背景を抜きます。

 今までは After Effects に入っている Keylight を使っていました。実際に、この Keylight を使っている人は結構多いのではないでしょうか?ところが Premmate Keyer は更に「簡単」かつ「綺麗」な合成を実現してくれます。私も使ってみて、本当に驚きました。

 グリーンバック合成は精度を高めるための「追い込み」が大変なのですが、このプラグインは作業時間を大幅に削減してくれます。パラメーターの細かい「数値」を決めるのではなく、直感的に画像のサンプルを抽出する方法で背景を抜く Primatte Keyer での合成方法は、本当に効率的だと感じました。

 基本的に背景を抜くためのステップは5つです。ほとんどの場合、この5ステップで合成が完成します。
Primatte Keyer テスト用、グリーンバック撮影素材付属 After Effects プロジェクト 配布
Primatte Keyer デモ版&正規版





グリーンバック撮影素材付属
After Effects プロジェクト
(CS4〜 .zip/57MB )

解説の途中ですがお知らせです。今回、江夏さんがキヤノン EOS 5Dで撮影されたグリーンバックの収録素材を特別にお借り致しました。このグリーンバック素材と、After Effects プラグイン Primatte Keyer のデモ版を使って、美しいクロマキー合成を是非ご体験ください。使用方法は引き続き江夏さんの解説をご参照ください。
(配布するグリーンバック素材は、製品の評価のみにご使用頂けます。評価以外の使用、再配布などはできません)
STEP1 背景を指定する
 今回の撮影では、女性のバストショットをグリーンバックで収録しました。素材を After Effects のタイムラインに載せて、Primatte Keyer 4.1 を早速エフェクトに加えます。
 まずは Mode を決めます。

 ここではDV/HDVの素材と HDCAM といったテープ素材を選ぶことができます。HDVなどによる収録素材では大きな力を発揮してくれるのが嬉しいですね。今回は EOSムービーなので「Other」を選択。ここにないコーデックの場合は Other を選びます。
基本的に「サンプリング」による合成作業が中心となる。まずは背景色を指定することから作業は始まる
 ここから合成のために素材から必要なデータをサンプリングしていきますが、サンプリングの方法を「点」で選ぶのか「面」で選ぶのかを決めます。

 両方をうまく使い分けるのですが、まずは「点」でサンプリングしたいのでここでは「Point」を選びます(面の場合は「Rectangle」を選びます)。
「Point」を使ったサンプリングの様子。何箇所か、マウスをドラッグしながら背景色のサンプリングを行う。
 それでは早速、Selection>Select>SELECT BG を選び、背景の色を指定していきましょう。

 背景のグリーンをドラッグしながら、抜く背景色を選びます。
 View>View で Matte をえらび、キーの状態を確認します。
 基本的に Comp と Matte を行き来しながら、抜けの状態を確認します。
STEP2 背景のノイズを除去する
 Matte のモードで見ると背景の左側にまだ抜けきれていない「汚れ」が残っていますね。このノイズを取るのは、今までのプラグインだと結構時間がかかったりしていましたが、今回は一気に除去することができます。
 それが Selection>Select>CLEAN BG です。
「Point」を使ったサンプリングの様子。何箇所か、マウスをドラッグしながら背景色のサンプリングを行う。
 CLEAN BG のボタンを選んでもらい、ノイズ部分をサンプリングします。おそらく1〜2回サンプリングするだけで、かなりの部分の背景が「黒く」綺麗になることでしょう!これほど背景が綺麗になるとは本当に驚きです!
STEP3 前面の画像を指定する
 わかりやすく作業を進めるために、背景に単色の赤平面を用意してください。 

 さて、まだ前面の人物がちゃんと塗りつぶされていません。ここで残しておきたい人物を指定します。
Selection>Select>CLEAN FG のボタンを選び、人物が白に塗りつぶされるまでサンプリングします。
「CLEAN FG」で残したい人物部分をサンプリングする。
この際に、背景とのエッジ部分(白と黒の境目)はあまりサンプリングしないようにしましょう。エッジはとても大切な部分です。
サンプリングを一度行って、CLEAN FG を実行した結果画面。まだ全部が白く抜けていない。
 点でサンプリングを行うと、それなりに時間がかかるので、サンプル方法を「Rectangle(面)」にして、選択部分を一気に広く取れるようにします。
Rectangle によるサンプリングの様子。一気に顔全部を選んで、人物の部分をマスクする。
 とりあえず「内部」を真っ白にします。この作業を何回か行います。
 背景のノイズ処理も含めて、SETP2と3を何度か作業を繰り返すと、とても綺麗なマスクが完成します。
 人物部分と背景が綺麗にマスクされました。
STEP4 SPILL(色こぼれ)を修正する
 View>View から Comp を表示させてください。
表示方法を Comp にすると、髪の毛の周りに SPILL があるのがわかる。このグリーンの色こぼれをこれから取り除く。
 まだ人物のエッジ部分に、グリーンの色こぼれがあるのがわかります。

この色こぼれ(SPILL)を除去していきます。
 今度は Correction>Correct>SPILL SPONGE を選び、色こぼれ部分をサンプリングしていきます。
 SPILL SPONGE のサンプリングが点でうまくいかない場合は、面でサンプリングするといい結果が得られます。

 サンプリングをして、希望の結果が得られない場合は Ctrl+Z で何度かやり直します。
 SPILL を取り除いた結果、かなり綺麗に髪の毛が抜けました。動きも含めて理想的です。
STEP5 背景となじませる
背景との合成を行う。背景との色味が違うため、色をなじませる作業をここから行う。
Primatte Keyer の注目すべき機能は、Color Matcher と Light Wrap だ。
 それでは実際の背景を表示させます。Primatte Keyer では「Color Matcher」と「Light Wrap」という非常に強力な、背景とのなじませるためのツールが用意されています。
まずは背景のファイルを指定する。
 それでは早速なじませる背景を Composite Controls>Background Layer からプルダウンで選択します。
Color Matcher では簡単に背景の色味の情報を使って、前景の色味をより自然に合わせることができる。本当に優れものだ。
 そして Composte Controls>Color Matcher を選び、Enable Color Matcher をチェック、そしてなじませ具合を「Strength」やその下の Highlights や Midtone、Shadows などで調整します。
 背景の色味と、人物の色味をうまく合わせていきます。
Light Wrap は前景のエッジ部分をなじませるもの。あまりやりすぎると逆効果になるので、要注意。自然な結果を得るためには、少しだけかけるのがコツ。
 次にLight Wrapを使います。

 Composite Controls>Light Wrap でエッジの部分のなじませを行います。Enable Light Wrapをチェックし、エッジ部分のなじませの調整をその下のパラメータで行います。

 Operation のプルダウンを「Wrap on Black」にすると、なじませ具合が良くわかります。後はなじませ補正をする幅や明るさなどのパラメータを調整。

 Comp Mode は Screen がいいと思います。あまり大げさにかけるとわざとらしい画になるので、わずかでOKでしょう。
なじませた後の最終画面。とても簡単に合成をすることができた。驚きのプラグインだ。色味も自然で、満足。
Primatte Keyer:髪の毛の動きや先端まで綺麗に合成されているのがわかる。
 簡単に Primatte Keyer と Keylight を、1分程度でできる調整を行って比較しました。

 比べるとその精度の差がお分かりいただけると思います。Keylight も優秀なキーイングプラグインですが、Primatte Keyer の方が上手ですね。
Keylight:髪の毛の先端はノイズが多く発生している。背景にも多くの「抜きムラ」が見られるのがわかる。
「縦撮り」という撮影方法
 ここでひとつ良くやる「縦撮り」という撮影方法を紹介します。HDの横長の画面に対して、人間のサイズは縦長です。なので全身を合成する時はカメラを90度回転させて縦にして撮影します。こうすることで、より大きなサイズで撮影できるので、高解像度の合成を行うことができます。ビデオ用の三脚だと雲台が90度も傾かないので、縦撮りする際はスチル用の三脚を使用するのがいいでしょう。少しでも解像度の高い収録をすることで、合成のクオリティをあげる事ができます。

 またスタジオなどで撮影する際の照明の配置ですが、背景となるグリーン面をムラなくしっかりと明るくするのがコツです。私はLED照明を良く使いますが、バストショットであれば、4kWほどの照明があれば問題はありません。今回私がおこなった撮影では3.2kWくらいの照明を炊きました。このときの EOS 5D MarkUの ISO の値は800です。おそらくこれ以上カメラの感度を上げることは、ノイズが多く出てしまうたね合成の場合好ましくないでしょう。やはり日中の太陽光の下で行う撮影は最高の結果を残してくれます。その際の ISO は200で、なるべく絞りの値を10前後にすることがコツです。被写界深度の浅い映像は合成するのに時間がかかります!
人物の全身を合成するときは、カメラを縦にして撮影するのがコツ。こうすることで解像度をグンと稼ぐことができるので、より綺麗な合成を行うことが可能。
Primatte Keyer まとめ:簡単、速い、綺麗の5つのステップ
Primatter Keyer 詳細はこちらへ
1)背景のグリーンバックを選択
2)背景のムラを除去
3)人物を選択
4)エッジのムラ(スピル)を除去
5)背景と人物をマッチング

これまでご紹介したPrimatte Keyer のクロマキー合成方法をビデオでもご紹介しております