プロのコンポジターが伝授するクロマキー合成方法

中野陽仁 氏によるPrimatte Keyer 解説

"クリエイターズ ビュー" 今回は、日頃、映画、テレビなどVFXのコンポジットを手掛けられる 中野陽仁 氏に、クロマキーで美しく合成するためのキーイングテクニックを解説頂きました。


キーイングツールとして紹介 頂くのは、Red Giant社のプラグインソフト Primatte Keyer (プライマット キーヤー)です。
Primatte Keyer は、After Effects、Avid、そして Final Cut Pro、Motion と幅広いホストアプリケーションのプラグインとして使用できるプロフェッショナル仕様のクロマキーヤー、キーイング プラグインです。グリーンバックなどの背景から、1クリック&ドラッグで、簡単にキーを抽出し、美しいクロマキー合成を実現できます。


ビデオでは、Primatte Keyer の パラメーターの説明に留まらず、美しいクロマキー合成にするための中野さん独自の考え方、テクニックを披露頂いております。特にパート2、実写の人物合成を行う映像クリエイターさんに必見です。
さーあ、合成野郎のみなさま。キーイングテクニックの始まりはじまりー!

クリエイターズ ビュー/Primatte Keyerの活用例(完成ビデオ)

まずは、今回、中野氏がPrimatte Keyer を使って実際に作成された活用例の完成ビデオをご覧ください。

中野氏が解説で使用されている After Effects プロジェクトを配布中!
Primatte Keyer の評価用プロジェクトとして解説と合わせてご活用ください。

※配布するグリーンバック素材について:製品の評価のみにご使用頂けます。評価以外の使用、再配布などはできません。

1) Primatte Keyer の基本的操作方法

ビデオ1では、After Effects にて Primatte Keyer の基本的な使い方をご紹介致します。

パラメーターの主要項目です。
・Deartifacting(キーイングの前に素材のノイズを抑制する)
・Keying(基本的なパラメーター)
・Alpha Controls(キーイング作業時にできたマットのアルファを調整する)
・Composite Controls(スピル(エッジなど背景色が反射している部分)の抑制)

(02:40)Deartifacting は、キーイング作業を行う前に、あらかじめ一定量の背景ノイズを抑制することができます。
強いノイズを除去する際は、Deartifacting>Mode>Otherを選択します。

(05:00)まずは、キーとなる色のサンプリングです。Keying>Selection>Select BG ボタンを選択し、キーイングする背景のからできるだけエッジに近いカラー(この場合はグリーン)を選択します。
エッジがイメージ通り抜けているか確認方法するため、Keying>View>CompからMatteに変更します。アルファーチャンネルをグレースケールイメージで視覚化したものを確認します。

(06:50)続いて、バックグラウンドのノイズ除去です。Keying>Selection>Clean BG を選択。Sampleing Style>Point(ポイント)からRectangle(レクタングル)に変更。背景のノイズは範囲が広がっているので、広範囲でサンプリングします。

(10:00)更に、Keying>Selection>Clean FG ボタンで、フォアグラウンド、前景、人物をクリーニングします。

(11:15)抜け具合を確認するため背景に別レイヤーを置いてみます。エッジや人物の頬に背景色が残っています。このスピルを抑制する一つがKeying>Correction>Spill Sponge(スピル スポンジ)です。スピルを除去したい部分をサンプリング。肌の色が変わり過ぎてしまう場合。この微調整はRfinement>Spill Plus、Minus で行えます。またComposite Controls >Spill Killer を使ってスピル抑制を行うことも可能です。

(19:10)背景を置き、エフェクト>ブラー&シャープ>ブラー(滑らか)でぼかし調整します。Lgith Wrap(ライトラップ)機能は、背景色を身体を周り込ませ、背景と人物をなじませる時に有効です。Composite Controls >Background Layer>背景レイヤーを選択。Background Blurなどで背景の映り込み具合を調整します。

(21:35)エッジが固いなと思う場合は、Keying>Selection>Defocus Matte の値を調整。エッジが白や黒に目立つ場合はShrink Matte でアルファマットの範囲を狭めます。

2)自然で美しいクロマキー合成を行う丸秘テクニック

マスクで重要なポイントは、エッジのディティールをいかに綺麗に保ったまま、背景を抜くかということです。具体的には、エッジで、人物で髪の毛先とか不透明な具合を残しつつ、服や機械のような抜けは割と固めに残す。それぞれの部位によってエッジのディテールが違うので、それぞれの特徴を残した方が、合成する時に背景になじみやすくなります。

但し、一つのレイヤーでキーイングの全行程を行った場合、エッジを奇麗に保とうとすると、時にコアやアウトサイドに抜けない部分が残る。逆にコアやアウトサイドを奇麗にすると、エッジが潰れてしまうことがあります。そんな問題を解決する方法があるんです!

クロマキーの合成方法として、頭部と胴体など、身体のパーツ毎にマスクを掛ける方法がありますが、本解説では異なる方法をご紹介します。

(2:10)Primatte Keyer は、基本的に一番最初のサンプリングが、一番エッジが美しく抜ける傾向があります。

これを利用し、キーイングする素材を、エッジ(Edge)、コア(Core)、アウトサイドノイズ(Outside Noise)という3つのブロックに分けてキーイングを行います。この方法により、最初にサンプリングしたエッジのディテールを残しつつ、人物と背景のノイズなどを除去した美しいマスクを作ることができます。

(04:50)この行程を説明しやすくするためNukeを使って説明します。
最終目標はフォアグラウンド(被写体)のエッジ、コア、アウトサイドノイズが全て奇麗に抜ける、白黒の奇麗なマットを作成することです。この場合、作成したマットのRGB情報は崩れてしまう傾向にありますが、RGB情報は、元のオリジナルの素材を使ってフィニッシングします。

(11:00)通常、マスクの段階ではあまりSpillを行いません。テレビや映画では、VFXの行程は、複数のカットを複数の人たちで共有し担当することが多くなります。その際に重要なことは、色を統一することです。具体的にはスピルを各自が掛けると色が変わってしまいます。更に合成でなじませる時、別にカラコレするとまた色が変わります。すると色が合わなくなって、つながけて見ると違和感が出ます。Spillは値を決めて共有することで全体の統一を保てます。また合成の際、マスク作成と合成は別の方が担当することが多いです。そのため白黒のマットさえあれば、作業がスムーズに行えるというわけです。

3)丸秘テクニックを用いた Primatte Keyer の活用方法

ビデオ3では、2の丸秘テクニックを実際に活用して、実際に After Effects での Primatte Keyer を使ったクロマキー合成を解説致します。

(01:30)具体的に人物のアップの素材から、髪の毛のディテールを残して、キーイングマスクを作成してみます。Keying>Selection>Select BG、もしくはKeying>Selection>Detail>Base Color Sample で背景色を選択します。
Keying>View>CompからMatteに変更。できる限りエッジの部分は奇麗に残します。この行程でのポイントは、背景のノイズ、前景の人物の内側の抜けは気にしないことです。
背景のノイズの除去は、Keying>Selection>Clean BG。サンプルスタイルはポイントで。エッジのディテールを失わない程度に済ませます。

(04:40)このエッジのレイヤーを複製して、コアな部分(内側を埋める)のマスクを作成します。
Keying>Selection>Clean BG。サンプルスタイルはレクタングルで、おおざっぱに外側のノイズを消します。Keying>Selection>Clean FG で、内側のマスクもざっくりで抜きます。

(06:35)更にエッジの部分を削ります。エフェクト>マット>マットチョークでマスクの範囲を削ります。エッジ部分のレイヤーのと合わせて見てみます。

(07:50)では、外側の抜けきれていないノイズを削りましょう。コアのレイヤーを複製。マスクのエッジを一回太らせます。エフェクト>マット>チョーク>チョークマットの値をマイナスにしてマスクを太らせます。
エフェクト>ブラー&シャープ>ブラー(滑らか)の値を増やして、エッジをぼかします。このアルファチャンネルを反転させます。
エフェクト>チャンネル>反転>チャンネルをRGBからアルファへ切り替えます。
これをRGBチャンネルに切り替えます。
エフェクト>チャンネル>チャネルコンバイナー>変換オプションをアルファに、ターゲットの明度から明度のみに切り替えます。

(10:50)この3つのレイヤーをプリコンポーズします。このプリコンポーズしたレイヤーは、マット、アルファマットのみとして使用して、カラーのレイヤーは元のオリジナル素材を使用します。これをまたプリコンポーズし、続いて背景を置きます。 スピル除去に色相彩度、トーンカーブを使用します。

(14:40)エッジの部分が固いので、Compsite WizardのEdge Blurを使って、エッジのぼけを調整します。スピルする場合、基本的にグリーンの部分だけを変える。カラコレの一種なので、変更したい部分だけを変える必要があります。スピルする時に気をつけなければならないのは、人の肌の色を変えてしまうことです。

これで、エッジ(Edge)、コア(Core)、アウトサイドノイズ(Outside Noise)の3つのブロックに分けた Primatte Keyer でのキーイングの完成です!

 Primatte Keyer のサンプルプロジェクトもぜひご活用ください!

中野氏によるクロマキー合成方法、いかがでしたでしょうか?ぜひクロマキー合成のお仕事のご参考にして頂ければと思います。

さて、本解説で使用したプラグイン Primatte Keyer を使ったクロマキー合成のテストには、以下配布するAfter Effects のサンプルプロジェクトをご活用ください。サンプルに使用するグリーンバックの人物素材も同梱します。

では合成野郎のみなさま、今日もはりきってイゴーセー!

中野氏が解説で使用されている After Effects プロジェクトを配布中!
Primatte Keyer の評価用プロジェクトとして解説と合わせてご活用ください。

※配布するグリーンバック素材について:製品の評価のみにご使用頂けます。評価以外の使用、再配布などはできません。

解説:中野陽仁 さんのご紹介
コンポジター:カメラで撮影された実写映像とCGで作成した素材、背景マットペイントを合成し、一つの映像を作り上げる。映像素材に対して画像効果を施したり、エフェクトを実際に作成しそれを映像素材に合成する。主にAfter Effects や Nuke を用いた合成、ロトスコープやキーイングによるマスク作業からCG素材やマット画を実写プレートに統合する一連の作業を行っています。

コンポジターとして関わった作品(一部抜粋):
『のぼうの城』 2012年秋公開
『カイジ2 人生奪回ゲーム』 2011年秋公開
『八日目の蝉』 2011年春公開
『牙狼〈GARO〉〜MAKAISENKI〜』2010年-2011年放映
『牙狼〈GARO〉〜蒼哭ノ魔竜〜 -GARO SOUKOKU NO MARYU-』2013年2月23日公開予定

ブログ:ILO - I love compositing!!